人生のスタンプラリー

人生のスタンプラリー認定協会埼玉支部

映画「怒り」ネタバレ感想

 

映画「怒り」の感想です。

めちゃくちゃ核心をついているわけではないけれど、ネタバレを含むと思います。

 

http://www.ikari-movie.com/

ていうか観てない人はまず映画を見てください。みんな怒り見てください。見て考えて悩んでください。誰かの感想がすごく聞いてみたいです。問題提起がたくさんある。お願いみんな見て。

 

以下ネタバレありの感想というか吐き出したもの。

 

 

*****

 

 

僕はずっと真実以外にも救いがあると思ってきた。いまでも思っている。正しいことが人を慰めるとは限らないし、嘘や秘密が人を救うときもある。それは正しいと思う。
でもそれだけの認識では甘かった。それだけじゃなかった。その一歩先があって初めて「救い」と「赦し」がおきる。それは「信じる」こと。嘘か真実かは重要ではない。自分の目の前にあるものをただひたすら「信じる」ことができるか。それができてはじめて、人は救われる。疑うことは簡単で、気楽で、一瞬の解放をもたらすけど、何も解決しないし何も生まない。誰も何も救われない。

 

「信じてくれて、ありがとう」

 

たぶんこれがこの映画の、そしてこの世界の全てなんだと思った。嘘と本当、秘密と暴露、妄想と現実、疑い、疑うこと、傷つくのを恐れること。それらすべてを自分のなかでしっかりと抱えてだきしめられてはじめて「信じる」ことができる。そこにしか救いはない。「信じる」こととは「許す」ことときっと同義なのだ。神はわれわれの懺悔を本心だと信じてくださるからこそお許しくださる。

それが自分で掴んだものであるにしろ、生まれながらであるにしろ、やむをえなかったものにしろ、人はみんななにかしらの罪を抱えて生きている。僕はそれをどれだけ許して生きることができるだろう。自分の罪や他人の罪をどれだけ受け入れることができるだろう。君は僕を許してくれますか。


さらに言及するなら、役者が本当に全員素晴らしかった。「演技」ではなくて「本人」なんだと思いながら映画を見た。綾野剛妻夫木聡がエッチしてる!!なんて思ったの一瞬だけ。優馬と直人という愛し合うふたりの物語だった。このふたりの物語はとくに美しかった。美しすぎて目眩がした。
どうして美しいものはいつも損なわれる運命にあるのか。哀しい。直人のエンディングはあまりにも悲しくて、でもきっと彼はそれを「正解」だと思ったから秘密にしてこっそり去ったのだろう。秘密は美しく、同時に優しさでもある。でも、残酷だ。そして残酷だからこそ美しい。だからこそ、僕らは救いを求める。その美しさを汚さぬために。