人生のスタンプラリー

人生のスタンプラリー認定協会埼玉支部

グランバ、人がゴミのようだった。

今日、原宿ラフォーレグランバザールに行ってきた。

これでも都内出身で、いまでも買い物には困らない場所に住んでいる。地元埼玉を都会と呼ぶつもりはないけれど、田舎でもない。「とかいなか」と僕は呼んでいる。それなりに人口は多いし、電車を1本のがしても遅刻はせいぜい10分だ。満員も行列も、いちいち驚いたりはしない。

でも、そんな僕でも、今日はちょっと人に酔いかけた。

こう、好きなブランドの店内で、服を手に取るじゃん?広げて「どうかな~」なんてやってるとね、横から別の手がビュンッて。しかもあっちからもこっちからも。ビュンビュン。ワゴンセールのワゴンが見えないし、近寄れもしない。店に入るための行列が階段数階分になってるのを見たときはさすがにギョッとした。みんな冷静になれよ。いやいちばん冷静にならなければならないのはその隣の店内でビビって手汗かいてる僕だけど。

まあでも、お洋服って高いもんね。このバカ安いタイミングに買っておきたいよね。気持ちは大いにわかる。僕も今日はTシャツとサルエル2本を買いました。元値は4万円超えるけど、トータル80%オフ。定価で買うのばからしくなるね…。まあ、ほんとに欲しいものってセールになる前に売り切れちゃうんだけどさ。

そんなわけで、ちょっと洋服の話。と、それにまつわる性別の話。

僕はいわゆるメンズのお洋服が好きだ。

日常の僕の服装を見たことがある人は見当がつくことかもしれないけれど、まあおおよそ「男装」と呼ばれるような格好をしている。メンズからユニセックスの服を、女性の身体で着ている。髪も短いから、ぱっと見で「なんて女の子らしい人なんだろう」と思われることはまずない。女子トイレでギョッとされることはたまにあるけど。

いわゆる思春期の頃から、僕は自分の性別が嫌いだった。

身体は完全に女で、いまでもそのままだ。月に一度は生理痛でロキソニンまみれになる。ならば脳は、意識がどっちかと言われたら、答えに窮する。

誤解を恐れずに言うと、僕は「性別という概念を恨んでいる」のだ。

中学生のころから女の子らしさを強いられることが苦痛でしかたなかったし、友達も男の子が多かった。買ったばかりの携帯で夜通しメールをするのは男ばかりで、初恋からしばらく恋愛対象は女の子だった。趣味も、いわゆる「男の子みたい」な趣味が多かったし、スカートよりズボン、ピンクより浦和レッズの赤が好きだった。いっそ自分が男の子だったら、いろんなことが今よりスムーズなのにと思っていた。

ここまで話すと、低くない頻度で「性同一性障害なの?」と聞かれる。それはちょっと違う。なれるものなら男の子になりたい、と願っている時点で、僕は自分を男だと思えてはいないからだ。あえて定義するなら自認は中性、FtXというやつである。

自分が男の子だったらよかったのになあと思いながら、メンズの服を着て、女の子を好きになって、男友達と飯を食ってる。まあ、男の子と恋愛することも、女の子と遊ぶことも当然あるのだけれど、比率の問題ね。

いまでもそうだ。僕はずっと自分が女であることを恨みながら、男という性別に醜いほど嫉妬しながら、ずっと葛藤している。

女にもなりたくない、男にもなれない。僕が属するべきはどこなんだろう。

でもこれって、世間一般の「性別におけるステレオタイプ」をそのまま踏襲しているから起きる葛藤でもあるんだよね。僕は偶然「男っぽい」けれど、そもそも「っぽさ」という男性性のステレオタイプ。女の子らしくしなさい、と言われるのが苦手だというところから、僕は性別について考え始めた。女の子はこういう服を着るものよ、と好きでもない服を渡されたり、女の子は男の子と恋愛をするものと信じられていたりとかね。それがいやでしかたなかった。

もちろん他の要因もあるけれど、でも、性別らしさを強要されることがなく、たとえば血液型みたいな扱いで性別があれば、僕はここまで思いつめる必要はなかったのかもしれない。男か女のどちらかに属することを強制されることもなく、外見の性別がわかりにくいと叱られることもなければ。僕は自分の性別や性別という概念を憎むこともなかったんだろう。

だって「それらしさ」を強要さえされなければ、それで済むんだもん。

 

長くなってしまった。

だから僕は性別という概念が嫌いだし憎んでいる。厳密に言うと、たぶん「ステレオタイプを強制されること」「どこにも属していない自分を否定されないこと」を求めている。

で、やっと最初の話に戻ると、「女の子らしい人ではない」っていうキャラクターを無言でアピールするためには、やっぱり洋服って大切なのだ。本当はそんなステレオタイプ蹴り飛ばしていきたいけれど、そんな力はないし、まず「男でも女でもない人」として認識してもらいたい。そのために、できるだけ女の子と認識されないような、なんなら「わかりづらいな」くらいの認識をしてもらえるような、そういう洋服を選んでいる。もちろんもともとメンズ服が好きって言うのが最大だけれど、その中でもやっぱりちょっと気になる。これ着たら胸が目立つかなあとか、かわいいけどこのヒラヒラはへたするとスカートだなとか。

一種、自分の思想を表すもの、服装。持ち物もそうだけれど、とくにね。今後も積極的に、性別とかいう憎たらしい概念から遠ざかって、僕は僕として生きていきます。

本来なら思春期に「こういう服が似合うかなぁ」「こういう服が好きだなあ」みたいなことを通過してくるべきだったのだろうけれど、あのころはそれどころじゃなかった。だから今、ていうかこの年になってやっとそういうことに気持ちをよせられるようになってきたというか。だからいまだに自分がどんな服が好きなのか、似合うのか、わからない。トライアンドエラーが必要なんだろうね。よかったらみんな僕に着せたい服を教えてね。なにが似合うのかマジでわからん。

オチもへったくれもないけど、本日のスタンプは「グランバから生還」でした。

22日のスタンプ「大好きなイケメンを舞台で拝む」も忘れないうちにここに書いておこう。