人生のスタンプラリー

人生のスタンプラリー認定協会埼玉支部

ダイアリー 17/09/15 ナカタさんに会った

 

ナカタさんに会った。
ナカタさんというのは、村上春樹さんの海辺のカフカという小説に出てくる不思議なおじいちゃんだ。字は読めないし書けない、そのかわりに猫とお話ができる。頭の悪い元秀才。
蜷川幸雄さんが舞台化もしてくださっていて、あんなに原作に対して誠実な舞台化もなかなかないなと原作が大好きな僕が思うような舞台だったのだけれど、そのときは木場勝己さんが演じてくださっていた。そのときの木場さんがどこからどう見てもナカタさんだったから、2012年にはじめて舞台で見て以来、木場さんに似た人を見ると僕は心の中で「ナカタさん」と呼びかけてしまう。

今日、副業でやっている販売のお仕事で売り場に立っていたら、ナカタさんがやって来た。目のシワとか、笑い方がとてもよく似ていた。レジはわりと混んでいたけれど、僕の担当している売り場は奇妙なほどぽかんと暇だった。ナカタさんは僕から商品の説明を受けると満足げにそれをカゴに入れてくれた。
ありがとうございます、と、我ながらよくできた営業スマイルと明るい声でお礼を告げると、ナカタさんは僕を見て言った。

「あなたは運がいいでしょう」

正直、は?と思った。いや、思うでしょ。お客さまとはいえ知らないおっさん、しかもきっともう二度と会わない人から突然運がいいとか言われても。
ナカタさんはレジを見て、混んでるなあ、と言って、それから続けた。
「下の名前を聞いてもいいかな?」
売り場の名札には僕の名字が書いてある。お客さまの言うことだしなんとなく断れなくてフルネームを伝えた。するとやっぱりなあ、と言ってナカタさんは笑って、こう言った。
「あなたは青と薬指の人だね」
立ち尽くしたままのはずなのに、レジの混雑が遠くなる音を聞きながら、僕はその言葉をただおうむ返しにした。青と薬指。するとナカタさんはちょっと楽しそうな顔になって、そう、左手のね。と言う。
占い?宗教勧誘?ネズミ講?おじさん何者?僕の問いは接客中だという理性によって声になることはなかった。ナカタさんはそれからまた続けた。そういえばカフカに出てくるナカタさんも、しゃべり始めると長い。

「好きなものについて、誰かより知らないことがあると悔しいでしょ?しおりさんは知識の人。好き!と思うもののことはどんどん勉強するし、知識欲がすごいから本も読む。詳しいこと、たくさん知ってることが愛だよね」

このあいだ福山雅治さんが、ラジオで後輩の株元英彰さん(推し)の質問に答えた言葉を思い出した。「詳しいは愛」。
僕は確かにそのタイプだ。好きになると知りたくなるし、たくさん知るとそれを誰かに伝えたくなる。そういう意味ではとても負けず嫌いです、と僕が言うとナカタさんはだろうね、と微笑んだ。

「それに頭でっかちでしょ。でも覚えておいてほしいんだけど、その賢い頭よりも「好き!」っていう感情がすごく大きいよ。好きと思うことに嘘はつかないし、つくべきじゃない、あなたのために」

ナカタさんの目の下の、しわなのか涙袋なのかよくわからないけれど、とても豊かな部分をやたらと見てしまった。目を直視はできなかった。だって、それは僕が常日頃から言っていることだったからだ。理性なんて感情の奴隷にすぎない。ナカタさんは続けた。

「そしてあなたの五感で一番強いのは嗅覚。好き!と思える鼻をしている。嗅ぎ分けられる。逆に友だちと会ったときとかに、なんか嫌なにおいがするなと思ったら逃げられる嗅覚でもある。だから同時にこれ嫌なにおいがする、と思ったらどんどん離れなさい。嗅覚は呼吸に直結するから、呼吸関係は大事にするんだよ。喘息とかの持病持ってない?」

僕はそこで持ってる、と答えた。喘息ではないけど。パニック症の発作が僕は呼吸に出て、過呼吸みたいになるのだ。でもそこまでは言わなかった。なのに、ナカタさんは「あなたの場合、気持ちと呼吸が連動するから」と言ったのだ。それから大腸も繋がっているらしい。なにかあったらゆっくり呼吸するといいよ、と言われて、思わずその場で真剣に呼吸をした。腹式呼吸は得意だ。ナカタさんはそれを笑うことはなく眺めていた。それからチラッとレジを見て、並んでるなあ、と言った。

レジは混んでいるのに、僕らの周りには人がいなかった。目の前の通路を人が通るけれど、それは出口に向かうためで、僕らの立っているあたりに用があるからではないようだった。
ナカタさんはレジが混雑しているのがどうも気にくわないようだった。並びたくないらしい。それもあってか、僕を見て目を細めて、さらに続けた。

「しおりさんは今日はいい色の服を着てるね」
僕の今日の服装は、まあ概ねいつも通り白黒赤だった。だから僕は赤ですか?と聞いた。するとナカタさんは「白だよ」と言った。

「しおりさん、青の人だから。だから日常的に白いものを身につけているといいよ。いいものが入りやすい色だから」
「いいもの」

僕はまたおうむ返しをしてしまって、それにナカタさんも「いいもの」と語尾を落として答えた。

「たまに思い出してほしいんだけど、しおりさん、あなたは見るからに運が良い。進めば周りの波も作れる人だ。良くも悪くも波を起こせる。でも悪い方にはいかないようにしてくれる人がたぶんいる。なぜなら、そういう名前を親にもらってるから。しおりというのはそういう名前だよ。だから自分の好きという感情を信じていれば大丈夫。嗅覚を信じて波をつくればいい」
ぽかんとナカタさんの言ったことを頭に書き留めて、それからはい、と答えるのが精一杯だった。ナカタさんはそれからすこし、今までより明るく笑って「お金はこれから勝手についてくるよ」と言った。

なんで僕が今お金ないことわかったんだろう。なんで僕が魚座で海が好きだなんて知らないはずなのに、波という言葉を使ったんだろう。なんで僕が自分の名前が大好きだなんてひとことも言っていないのに、名前を大事にしてくれたんだろう。ぐるぐる考えていたら「やっと空いた」とナカタさんはレジを見て、それから「ありがとね」と僕を見て言った。はい、と返してから、いやいま仕事中だ、と思い出して慌てて頭を下げて声を出した。ありがとうございました。すると何歩ぶんか離れたところからナカタさんが僕を見て言った。「いい声だね」。

ナカタさんは僕が売った商品しか持っていなったみたいで、あっという間にレジをすり抜けて行った。それから僕はいま言われたことを忘れないように、仕事をしているふりをしながらできるだけ詳細に書き起こした。とはいえ、やっぱり細部は僕の補正がかかっているだろう。でも大筋は違わないはずだ。

嘘みたいな話。自分で書いていてもそう思う。創作実話かよ。でも僕は本当についさっき、この現象に遭遇したのだ。ナカタさんは確かに青いポロシャツを着て、僕の前にいた。レジでお金も払っていた。今思えば僕もナカタさんの名前を聞けばよかったのだけれど、そんなふうに頭はまわらなかった。

これがまったく的外れな、つまらない話なら僕だってわざわざ書き残したりはしない。でも今日は違った。
端的に言ってここ数週間の僕は酷かった。いろんなことやもののタイミングで、ただでさえうつ病治りかけなのにそれに悪化の拍車がかかっていた。もともと強い希死念慮は重かったし、完全に抑うつ状態だった。好きなものを否定(されるように感じてしまう)ことが悲しくて胃が痛くなるまで腹を立てたりした。しばらく飲んでいなかった、強めの精神安定剤を何度か飲んだし、白状するとここ2週間は睡眠薬なしに眠れていない。

でも今日ナカタさんと会えて、たしかに幸せだったし、なんとなく救われたような気がしたのだ。
名前を褒められたのが本当に嬉しかった。いわゆるXジェンダーで、性別からできるだけ遠ざかっていきたいと宣言しているわりに僕がしおりという名前を手放さないのは、この名前が好きだからだ。しおりという名前を最初のギフトとして僕に授けてくれた親に感謝している。
最近、本当にしょうもない程度のことで、悩んでいた。今の生き方してていいのか、と。もちろん強くあるために変わらなければならないことはある。それはわかっている。でもそうじゃない部分まで、変えなければならないのかと。でもそうじゃないらしい。好きなものに愛を示す生き方を、そのために貪欲になる生き方を、その一瞬、一瞬に誠実を込められるだけ込める生き方ができればいいんだと改めて思った。そうだよね。ナカタさんにそれを肯定してもらったのだ。
それに僕は自分の鼻が効くことをよく知っているし、この嗅覚がすなわち自分の審美眼であることもわかっていて、そして、僕は自分の審美眼に自信があるのだ。

僕は僕の生きたいように生きていていいんだ。愛したいものを愛するために尽くせるすべての誠実を尽くして、花束を振り回して世界を殴りながら生きていけばいいのだ。カラフルでレインボーな花束で世界を愛していけばいい。僕のやり方で。僕は僕が美しいと思うものを愛せばいいし、ダメだと思ったら遠ざかっていいのだ。
僕にはたしかに、僕が何か間違えそうになったときに真剣に止めてくれる友人がいる。僕にはたしかに自分の好きという感情でしか生きられないし、なにより、呼吸と声と、そして言葉でしかそれを尽くせないのだ。

わかっていたことだし明文化もしていたことだった。自分でそういうふうになりたいと思う自分の像そのものだ。それを、突然現れたナカタさんが、目の前に再提示してくれた。ちょうど、見失いかけていたときに。

ナカタさん、どうしてわかったんだろう。何を見て判断したのか、名前だけ?オーラ?だって誕生日も血液型も出身も、年齢すら伝えていない。

生きていると、たまにこういうことがある。タイミングというのはすなわち運命で、積み重なって人生になる。僕はたぶん、ナカタさんみたいになりたいのだ。いつか僕がナカタさんのポロシャツの色や顔を思い出せなくなっても、今日彼に言われたことを忘れることはきっとできない。好きという自分の気持ちに正直でいいのだ。自分の嗅覚を信じていいのだ。そして僕も、彼が褒めてくれた声で、誰かにそういう花を渡したい。

名前も知らないナカタさん、どうもありがとう。あなたが今夜よく眠れますように。もうきっと会えない気がするけれど、それでいいんだよね。

 

 

ダイアリー17/08/28

 

これはよく僕がするたとえ話で、人の言葉にはチャンネルがある、という話。
あの人とは(内容ではなくて会話のテンポや語彙、指示語の使い方が)どうも話が噛み合わない、って場合、わりと違うチャンネルを通して話していることがある。たとえばNHKが基本チャンネルの人とフジテレビが基本チャンネルの人は会話するの大変だと思うんだよ。
普段はNHKだけどテンション上がるとローカルテレビみたいになる人もいれば、ふだんはコミュニティFMなのにちゃんとした場ではテレ朝みたいになる人もいる。

僕は、少なくとも自分では、そのチャンネルの数を多く持っているほうだと思っていて。
僕のデフォルトのチャンネルはテレ東だと思ってるんだけど(マイペースで基本的に好きなことしかやらないので)、必要に応じて、まあ埼玉で見られる地上波分くらいにはチャンネルを使い分けられると思う。たぶん。
でもBSとかWOWOWにまでは対応してないんだな、って思うことが最近多々ある。

言葉だけではなくて、思考もそう。同じものの特集を組むんでも、どのチャンネルで組むかによって特集の仕上がりはまるで違うものになる。

何が言いたいかって、同じものが好きでも言葉が通じるとは限らないし、同じものが好きでも同じような特集の組み方を…つまり応援の仕方をしているとは限らない、という話。

そんなことわかりきっていたし、なにをいまさら?ではあるのだけれど、再認識させられたから。
いままでも(たぶんこれからも)趣味は少ないほうじゃないから趣味の友達は多いし、僕の使ってるテレ東チャンネルを気に入って仲良くしてくれる人も多い。ありがたい話。

で、ここからが本題ですけど笑、新しい趣味の界隈の扉を開いたことで、僕の持ってるチャンネルじゃ対応できない!ってなることがとても増えた。言葉の使い方としても、思考、あるいは価値観としても。だからどうしたらいいのか、と思って、ここ最近までは自分のチャンネルを増設しようと必死になっていたのだけれど、なかなかアンテナの設置工事がうまくいかないみたいだ。まあチャンネルの増設工事を意図的にやること自体がはじめてだから戸惑ってる面もあるんだけど…。
言語のチャンネルはもともと複数あったし、価値観のチャンネルみたいなものはわりと(ありがたいことに)外部の力でむりやり増設させられることが多かったから。

自分が狭い世界で生きているって思ったこと、あんまりなかった。世界は広くて美しい、それに憧れ続けていたし今でもそうだから。まだ広くて美しい世界に到達できているとも思ってないけど。
日本はもちろん海外にも友だちはいるし、趣味も複数あるからいろんな界隈の友だちがいるし。だけれど、チャンネル数という意味で言えば、今まではとても少なかったんだと思う。

それが最近(おそらくこれを読んでくれている人はご存知の通り)、今までの僕ではありえなかった界隈に飛び込んだでしょう。思えばVALSHE好きになったあたりからそうなんだけど、自分で自分を、いままでとは違う世界に飛び込ませているでしょう。最近の僕。
それなりにいろんなもののファンやオタクを、それなりに楽しくやってきた自負とノウハウは持っているつもりだった。でもそれが新しい界隈では通じない。こんなこと初めてで。

でもそれは好きになったものそのものへでの気持ちではない。好きになったものに間違いはないし僕は自分の一目惚れをわりと信じている。
ただ、あくまでそれを取り巻く人間関係であったりとか、好きなものを支えるマーケティングの人たちだったりとか、そういうものとうまくいかねえなあ、って。WOWOW通じねえんだよなあって思うことが多い。言葉も価値観も。

困ったことに、だからどうしたいのか、と言われても、僕にはまだ出せる答えがない。
チャンネルを増設するべく頑張るのもたぶん答えだし、それをやめていま機能してるチャンネルをより整備していくのも答えだろう。

まどろっこしくなく端的に言うと、新しい界隈でつくりあげた人間関係をどうしていくべきか悩んでいる、という話です。罪を憎んで人を憎まずメンタルだから、この人のここは好きだけどあそこは嫌いだな、と思ったときに、そのいいほうを選んで人間関係をキープしがちなんだよね。でも罪ではなくて人として合わないのなら、それはもう付き合い方を考えていくしかないんだと思うこの頃なのです。それができるにしろできないにしろ。

25歳にもなって、こんなことを本気で考えるなんてバカみたいだしみっともないんだけど。いままで自分がいかに人間関係に恵まれてきたか、本当によくわかるなあ、と。だからそういう人たちには改めて感謝したい。
ちょっと自分でも予想外な形で、自分自身と、自分自身のチャンネルと向き合うことになった、そんな夏でした。

でもお芝居とかたくさん見に行けて、それは本当に良かった。完全に新しい季節を過ごした。いまのタイミングで出会えて良かったなあと思う作品と出会えたし、セリフにもぶつかったし。
そういう意味では新しくて最高な夏だったから、秋も冬も最高になるんですよ。来年もね。死ぬまで青春で最高であり続けたいと思うし、そうありつづけられるし、それは僕の中で決定事項だから。

花束を振り回して生きていこうぜ。

 

僕はひとりでは生きていけない∠RECEIVER *ウラブー千秋楽感想

 

ウラウラブースト!千秋楽おめでとうございました!!!

初日の感想( http://bookmarker35.hatenablog.com/entry/2017/08/16/232853 )からやっぱ大きくぶれなかったな。むしろ深まったくらい。あまりにも個人的な境遇とタイミングと感情と重なってしまった。だからたぶんこれから先も、僕はこの舞台が好きだと思う。劇プレが好き?って言われたら好きな俳優がいるんだよ、って答えになると思うけれど、ウラブーが好き?って聞かれたら、大好き。


今日だしたファンレターにも書いたんだけど、応援って対等だからできることなんだよね。
応援する、される。応援するあなたに恥じないように、応援されるきみに恥じないように。
僕の実家たるポルノであれば「ポルノのこの曲に恥じない自分で在れるように」と自分を奮い立たせるし、「嘘でも前にという言葉にふさわしいように」って自分にハッパかけるし、という具合。

で、今回の舞台で僕は「お前は今、何と戦っているんだ」という言葉に、ためらわず答えられるようにありつづけたいと思ったんだ。幸い、いまは答えられるから。
で、あっちにもそうであってほしい。ファンのエゴとして。あの曲を歌うのにふさわしいバンドでありつづけてほしいし、あの言葉を投げかけるのにふさわしい役者でありつづけてほしい。
応援はするだけじゃない。しあうもの。

パコ見に行った感想にも書いたけど、応援されること/することで発揮できる全力っていうのは愛と誠実の1つの具現化だと思う。
エゴイズムの塊でもあるけれど、僕はエゴの伴わない行為は何もできない人種だから尚更ね笑

カーテンコールでヒデさんがぶっぱなした「押し上げて、押し上げられたら、真ん中に宇宙ができる」という迷言(笑)、僕のごくごく個人的なことを言えば、誠実な愛と愛の交換の真ん中に、宇宙をつくることはできると思う。

僕はひとりでは生きていけない。人生のどん底を、大事な人に、大切な言葉に、愛する曲に、支えて救ってもらった。そうじゃなければ今の僕はありえないから。宇宙を作るんでも、僕の言葉で言うところの花束を振り回しまくりながら、花を渡しながら、でもいい。
だから舞台の最後が「弔辞」でも「エールを送る」んでもなく、「エールの交換」だったことが嬉しかった。
もうこのへんの僕の思考のベースはポルノに責任取ってもらうしかないんだけど笑

そういう対等な関係だからこそ手渡せる愛情のかたちで、劇プレはファンを対等なミラーとして見てくれているのかなあと思ったよ。
昨夜フォロワーさんが「ウラウラブーストは劇プレを鏡にして自分と見つめ合う舞台」と言っていてすごく納得したし、ならば僕は何と戦っているのか、と。
押し上げて、押し上げられて、花束を振り回しまくりながら、やっぱり戦って生きるしかないんだなと思った。

ていうか物販でヒデさんに「押し上げるので押し上げてください!」って言ったら「わかりました宇宙つくりましょう!」って言ってくれて嬉しかった笑
宇宙つくるしかねーな!花束ぶちまいて生きるしかないんだよ。僕にはそういう生き方しかできないけど、これがきっと僕のベストアンサーなんだと思う。


脚本が、カツシゲさんの「突き抜けたエンタメ性」と「頭使って見るとわかる考えさせられるポイント」両方がぎゅってなっててそれも最高だった。
個人的にね、熊本の震災を示唆していたのがとても響いてる。
「あっという間だからしかたないけど、1年も経つと忘れられちゃうんだ、おれだって帰ってなかったらゆっくり忘れていたのかもしれないけど」というフレーズ…。あの重さ。
あれをあくまでかるく、でも切実にそして誠実に言葉にできる由次郎さんも、脚本に書けるカツシゲさんもすごい。あれは下手な役者に言わせちゃいけないセリフだよね。
僕らには忘れちゃいけないことがたくさんある。『この地球の裏側でも、僕たちの足元でも、起こりうるできごとから逃げない』人でありつづけたいしそうなりたいよ。まさか劇プレ見にきて僕のすべての原点に立ち返ると思わなかった。∠RECEIVERにここで出会うとは。

劇プレの箱推し!になれるかはわかんねーなって思った(18人もいれば当たり前だけど演技が好みじゃない人もいるし、えーって思うところもあったし)けど、でもたぶん次の本公演も行く。

千秋楽の株元さん本当に良かった!!走るの下手すぎて腿上げになっちゃうところとか最高だった笑
なによりよかったのは演舞における株元さん。彼がピシッと旗を持つことで舞台上に静と動の美しさが生まれて見応えが増し増しだから。そして旗が振られることでパワーアップする迫力。
今日は一段と静と動が美しかったし、タケノリくんが旗手に選ばれたのなんかわかるなあ、って思ったりもした。あのメンツなら、彼がきっと適任。株元さんじゃなくて、タケノリくんが適任。
新入生のときのワンテンポ遅れた押忍!とか、ピンクシャツいじりのときの怯えかたとか、めっちゃタケノリくんだった(さすが我々の章太郎さんである)。今までの素晴らしいが全部詰まってたかんじ。マジで外部の舞台で株元さんが見たい。

初日からの進化っぷりで言ったら将熙くんが抜群すぎた。サトシが団長になったばかりのダイスケにキレるシーンの説得力が初日とは段違いだった。あたっくのときも思ったけど、彼の周りの演技を吸収してお客さんのリアクションを見て成長していくスピード、もんのすごいよね。
このあいだブログにも書いたけど( http://bookmarker35.hatenablog.com/entry/2017/08/06/215400 )、やっぱりダブルまさきはこれからも応援しつづけたい。

そして猪塚さん。あの人は本当に舞台上でその瞬間に動く感情とか、その日の演技の良さを反映してみんなに広げられる反射鏡みたいな芝居する人だなって。拡大鏡、なんて言ったらいいのかな。千秋楽だったこともあって、今日は特にすごかったな。
だからこそ、まじで、青鬼が株元さんバージョン見てみたかった。あのふたりのダブル主演、めっちゃ見たいでしょ…。


なによりも!今回ウラウラブーストに連れて行ったポルノファンみんな楽しんでくれてよかった。はっさくめがねさんありがとう。


はー。観劇漬けだった僕の夏も少しずつ終わる…。そんな感覚に浸りながら、愛と誠実について考えながら、∠RECEIVERを聞くよ。

 

 

追記、株元さんの演技の話。

お借りしたままのHaGT見たんだけど、ウラブーのタケノリくん見たあとにコウさま見たらさあ、あっ僕、株元さんの演技、好きだ…ってなってしまった……

勇人さんのときとか顕著だけど、株元さんはたぶんご自分で読み込んだり考えたり、お稽古なさる中で、自分の中に「その役」のチャンネルができる人なんだろうなーってかんじ。
オンにすると役になる。オフにするとご本人に戻る。憑依させるのとも役と手を取り合うのともちょっと違う。オンオフのスイッチを自分でコントロールする。いま入れるぞって。だから役じゃなくて自分のまま(スイッチオフのまま)のアドリブとか苦手なのかなあって、去年のハンサムのラブトラKUROFUNE対決を思い出した。もしかしたら役を作り上げるのに時間はかかるのかもしれない。一度できてしまったら強い。
憑依させるのと違うのは自分でスイッチオンオフできること、手を取り合う系と違うのは完全にオンとオフなこと。

そしてこのタイプだと、彼の頭の中に作られる役の解釈がオーディエンスや周りの役者と一致しないとハマらないけれど、株元さんはその解釈がうまいんだろうなあと。少なくとも僕とは現時点では全役で完全一致だから笑
安心して見ていられる、って前から思っていたのはそういうことかなって思う。勇人さんの解釈において一番信頼できるのかぶもとさんだもん…。そういう体で役を覚えるより先に頭でどう演じるか、そのキャラはどんな人なのか考える人なんだろうなって思うなどした。

あのー圭吾さまのバースデーイベントでのネックレス発言とかそう!笑
戸谷さんが半分役の憑依入ってるんだか入ってないんだかでぽんって言った「お揃いのネックレスは?」発言を真剣に「勇人さんならどうするかなと思って…」って考えてたのが忘れられないんだよね。たぶん彼の中には勇人さんが住んでて、自分とオンオフできるんだろうなって。
そういう役者さん好きになるの初めてだからめっちゃワクワクする。もっとたくさん外部の舞台出てほしい。もっとたくさん株元さんのお芝居が見たい。

 

 

 

ウラウラブースト2回目観てきた話

☆URA!URA!Booostのネタバレ感想です。2回目観てきたよ。

 

 

 

 

 

 

やっぱり前回書いた個人的な思い入れがすごく強く残るし、あーみ応援されてしまった、千秋楽まで死ねないな、って。かんじ。笑

この舞台は本当にいわゆる体育会系とか、体育会系じゃなくても部活とか、なんでも良いけど何か「みんなとつくりあげるもの」に身を捧げたことがあるかないかで、抱く感想がまるで違ってくるだろうと思う。

僕は間違いなく学生時代を部活に捧げてきたし、運動部じゃないけど大会もあって発表会もあってライバルもいた。発表会も作品も、絶対に1人じゃなんにもできなかった。同期にも同じセクションの人にも感謝してるしいまだに仲良くしてるやつらたくさんいる。
だからもうそれだけでめちゃくちゃに感情移入してしまう。
だから部活とか学生時代とか、この脚本と何か重なるものを持っている人かどうかで、ぜんぜん受けとめ方が違うと思う。

何回か公演してるうちにいろんな人の感想を見て、そのなかに「本編中のメインは赤鬼と青鬼の話なのに、最後あの瞬間に同期全員が揃うのって変じゃないか」「あの7人が集まることに説得力があるだけのそれぞれの背景の掘り下げとか赤鬼との関係性の描写がもっとあるべき」というのが何件かあったんだけど、僕はそれにすごく違和感があって。で、どうかな?って思って今日観ていたんだけれど、なーんの違和感もなかったし、むしろ12代の絆の描写は十分すぎるくらいだったと思った。
たしかに同じ部内でも特に仲良いやつとまぁまぁな奴っているけど、もし僕が同期からなんかあったって連絡あったら多少の予定はひっくり返すし、ましてそれが葬儀なら。考えたくもないけどね、同期が僕より先に死ぬなんて想像したくもないけど。後輩だって嫌だけど。ていうか同じセクションの後輩になんかあったらすっ飛んで行くけど。

しかもあとに来た6人のうち4人はいわゆる当日急に休めない職業とかじゃないじゃん。実家で農業、実家で手伝い、個人投資家、実家の工場。当日でもなんとかできなくない(もしできねーよ!って人いたらごめん)。あとふたりはわからないけど、でも多少無理すれば休めるとしたら、行くっしょ。最後の挨拶だよ?それは、したいでしょう。仲間だもん。

だって四年間も一緒に青春ど真ん中!したわけじゃん!もうそれが全てで答えじゃん!

個々人が云々とかじゃなくて、一緒に夢を仰いだ仲間だってこと、青春ど真ん中した一蓮托生な連中であること。それはあのエピソードの数々から伝わってくる。
それで十分すぎるよ、最後にみんなが集まった理由なんて。青春を共に駆け抜けたこと、それがすべてだよ。

すくなくとも、学生時代は部活ばっかりやってた僕はそう思う。


あとやっぱりいづかざの喧嘩シーン頭抱えるくらい可愛いな。どうした。いづかざ尊い。また舞台つくってください。あのふたりの組み合わせは宝だと思うよ。風間さんの演技好きすぎてウッ……ってなるし。あの人動くとめちゃくちゃカッコよくないか!?!?演舞してるところ最高だったよ…。
太田くん、初日より今日のほうがよかったなあ。舞台中にも吸収して成長してるのがわかるから、ああ、やっぱりこの人が大成するまで応援したいって思ったよ。
あと株元さんの演技、見れば見るほど面白くなってくる。新しいタイプの役者さんに出会ってしまった感じ。なんだろう、役本人なんだけど、憑依型というよりはオンオフ型。自分の意思で役になったり役のモード切ったりできる印象。もっとたくさん彼のお芝居が観たいです。

初日にすこしネガティヴな感想として
(以下ネガティヴ意見)

「今井さんじゃなくて赤鬼猪塚さんと青鬼株元さんだったら200倍は褒めちぎってたと思う。なんていうか…またその組み合わせか、っていうのがぶっちゃけた本音だったから。劇プレ自体をもっと「押し上げて」いきたいなら、それこそ本人たちから新しいことにチャレンジする姿勢が見たかったなというのが新参の生意気な感想です。諸先輩がた許してください。
そりゃまあ株元さんが推しだからというのもあるけど、配役が似たり寄ったりだなあってかんじだったというか。ほんとすみません。青鬼かぶぶが見たかっただけです。まぁメガネ株元さんサイコーだったからオールオッケーだけど」
って書いたけど(まんまコピペ)、これはやっぱり変わらないな。赤鬼猪塚さんと青鬼株元さん、観たかったな。また猪塚今井か、ってなるし、ぶっちゃけ同級生に見えねえんだよな。あとは株元さんにもっとでかい役やってほしいというファンの欲目です。

あとは今日いっしょにいったジャニオタが「猪塚さんの顔が良い」って言ってくれたのでサイコー!って思いました。知ってる!!!!!!!!

 

あとやっぱoが3つな理由がわからん。もう一回行くから、そのとき探す。

 

 

推しハシゴdaysに思うこと+パコと魔法の絵本のネタバレなし感想(8/26ネタバレ追記)


たびたび言いますが、僕はただのポルノファンだったんですよ。それがこの2日まードリフェス!劇プレ!戸谷さん!って推し巡りツアーみたいになってて。

わざわざ町田でドリフェス!の缶バッジチャレンジしてからの劇プレ・ウラブー初日からの今日のパコというこの推し事二日間、先々月くらいの僕が組んだスケジュールなのだけれど、それと向き合いながら、なんかふっと目が覚めたように、なんでこんなことしてんだろ、ってなった瞬間があった。今日。
それこそ僕人のこと追いかけるより先に自分のことなんとかするべきなのでは…?とか。そもそもなんでこんなに夢中なんだろう、とか。それこそ逃げなんじゃないのかなとか。
まぁいろいろ思ったりもしてちょっと考えてしまったのだけど、それより気づいたことがあって。

僕お芝居にしろライブにしろ終わった後にみんなと素晴らしかったね、素晴らしかったねって話してる時間が好きなんだな。

その時間があってはじめて見たもの与えられたものが自分の血肉になって自分がすこしだけ前に進めたり強くなれたりする気がする。あとなにより素敵だとか綺麗だとか思うものを人と共有するのが大好きなんだなって思った。
人と快感を共有する瞬間、ほんのすこしだけどなにかから解放されたみたいな幸せを噛み締めていられるんだよな。ライブとかもうそのまんまだけど、現実からふわっと逃れて踊り狂って音楽に浸りきったり、美しいものに身体ごと溶かされたり、文学世界に溺れたり、そういう時間がないとますます生きづらいんだ。でもそういう時間があると、すこしだけ延命措置を自分に取れるの。
だからしばらくはこういうことし続けるんだろうなと思うし、終わった後にそれを共有してくれる人がいてくれたら嬉しいです。
まさか俳優とか2.5次元に自分が落ちると思ってなかったし自分の血眼っぷりにちょっと引いてるけど笑、なんというかいま「趣味、人」を噛み締めてる。


というわけで今日は!三推しのひとりである戸谷さんの出てる!
「MIDSUMMER CAROL -ガマ王子vsザリガニ魔人」観劇でした!ネタバレしない感想というか個人的な覚書き!
パコと魔法の絵本
お話も面白かったし最高ポイントはいくつもあるんだけど、戸谷公人さんの演技が素晴らしすぎて魂抜ける。ドリフェス!からのあたっくからのファイブからの室町さん、役の振り幅たるや!その巧さたるや!本当に憑依型の役者さんだなと思った。マジで、役ごとに別人になってしまう。目の色からして違う。今日は三列目だったからなおさら、戸谷さんを観にきたはずなのに、室町くんに夢中になってた。
そういう憑依型の役者さんにめちゃくちゃ弱いんだよなあ僕。ほんと、顔と演技の両方に惚れたら、それはもう落ちるしかない。

室町くん、めちゃくちゃ可哀想なんだけど、でも彼を可哀想と言ってしまうのは自分を可哀想と言うのと同じになる気がして言えないなって。だからあの終わり方とてもよかった。あとあの役を戸谷さんにやらせるのキャスティング最高。だって彼、いくつから芸能界にいるのよ、ねえ?ってかんじ。
いやほんと最初の登場シーンからテンション一番上がったところ、顔死んだところ、テンション一番低いところ、血眼になるところってほんと見所しかない役だったんだけど、ずーーっと戸谷さんじゃなくて室町くんで怖かった。なんていうかあの役柄で、あのセリフ言いながらあんなことしながら、あの顔面の美しさは恐怖だった。美しいは暴力と恐怖を生むね…。

あと個人的に室町くんのセリフ全体的にしんどかった。わかる…ってなってた。僕はとっている手段が違うだけで同じことしてる。だから最後ああなって本当によかったなあ、って。自分の殻みたいなものとか、自分で自分にかけている呪いとか、自分の中の恐怖心との戦い。みっちゃんのおかげでもある。僕にはたぶんすでにみっちゃんみたいな人はいてくれているから、僕もああなれるかな。

室町くん以外の感想を言うと、主治医の人の演技がメッッチャ優しくて好きだったなあ…心やすらぐかんじ…ハマリ役!ってファンの人からは言われるんじゃないかな。
あとなによりなっちゃん!!!!!!タマ子さんね、最高だよ最高オブ最高、役も演技もめっちゃよくて名前覚えた。川口莉奈さん!めっちゃよかった!次観に行くときはタマ子さんどっちなんだっけ。楽しみだな。

あとまさかの、オーバーリングに引き続き株元さんとの現場被り。夜公演あるのに観に来るなんてシンメ最高…。

あとこっからすこしだけアフタートークのメモ。
アフタートークは戸谷さんが室町以外の役を演じるなら?パコ!というところからパコのセリフ言ったときに会場がキャー♡♡ってなって、MCの谷口さんが「俺が言ってもキャーならんかったやん!」みたいなことを言ってたのがめちゃくちゃ面白かった笑
あと室町くんを演じてると、戸谷さんはポジティブなのにちょっと室町くんを引きずってしまうらしいです。そりゃそうだわあんな役をあんだけ演じきったらそうなるわな。
あとダイノジの大地さんがアフタートーク乱入してきて笑、盛り上げてくれて面白かったんだけど、食べてたどら焼きをセットの上に置いたとき戸谷さんが「いやセットの上に置くなよ」って冗談っぽく、でも真面目に言ってて好感度が爆発した。プロフェッショナルは、他のプロフェッショナルにも敬意を払う。すてきでした。
室町という役がちょっとアレな役だったから、室町くんのままアフタートーク出てきたらどうしようって思ったけど、ちゃんと戸谷さんで出てきてくれて安心した。相変わらずすてきなお兄さまでした。

この2日で三推しを一気見して思ったのは、
猪塚さんはすごくいい意味で一貫して猪塚さん。だからこそ舞台の上に満ちるその場の生きた空気とか瞬間の奇跡を拡大して会場中に広められる拡大鏡みたいなお芝居する人。オーバーリングのときとか完璧にそうだった。それはそれで大好きだし、類まれな才能だと思う。役と手を取り合いながら、舞台のその瞬間に呼応して行く。
戸谷さんみたいな憑依型俳優はもう言うまでもなく大好き。前の舞台だったあたっくのときも寺内中尉!って思ったし、今回も室町くん…ってなったし、テレビドラマのファイブのときは会ちょ…トッシイイイイイイ♡♡♡♡だし、世間的な評価は知らないけど僕の好みど真ん中の演技をする人であることは間違いないことが確定してしまったよね完全にね…顔と演技に惚れて声に惚れてあとどうしろと。推します。
あとはもっと株元さんの演技が見たい。演技もっとたくさん観たい。テレビでてくれ舞台出てくれ。どんな演技をするのかもっと観たい。

 

 

 

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以下、2017/08/26ネタバレ追記。
個人的にめちゃくちゃずーんときたところの記憶が消える前のメモ。
ネタバレあるのでお気をつけを!

 

 

 

 

室町くんのね、
「死ぬのも怖いのに、生きてるよりマシだって思っちゃうんだ」
って台詞があまりにも重かった。そのくせ死ねないあたりが、もーー重かった。
なんでかっていうと僕もそうだから。希死念慮つよい。死にたいし、自傷もするのだけれど、死ねないだけで。クスリはやったことないけど(買えもしないしね)。でも楽になるために死にたいのかと問われたらそれは半分だけで、あとの半分は死への恐怖が色濃くある。それでも、今この目の前の現状に立ち向かう力が出ないときは、とりあえず逃げたくなってしまう。ここではないどこかに行けるならどんな道でもいい、誰に何を言われてもいい、とにかく逃げたいって。そうなってしまうし行動もしてしまう、生きてるよりマシだって思ってしまう。
でも怖いから死にきれない。
どっちつかずで、中途半端で、現実に向き合って立ち向かう勇気すらなくて、そんな自分がますます受け入れられない、逃げたい、死にたい、そういうループ。
だからこそ、「可愛い」しかできない、って言いながら猫耳フードでウイスキー飲む室町くん、しんどすぎて唇噛んだ。

戸谷さんだったらさあ、絶対言わないんだよ。すくなくともファンの前ではそんなこと言わない。一緒にでかい景色見よーね、だからついてきてねって言ってくれる。
だけど演じてるときは戸谷さんのかけらもないからさあ。顔面の美しさとスタイルの良さだけだよね戸谷さん要素。あとは本当に見事なまでに室町くんだったから。表情も声色も。だからこそ、あのセリフ、キツかった。

そんな室町くんの目を覚ます強いオタクみっちゃん、端的に言って、最高。
だって室町くんは、あそこではじめて「可愛い」じゃなくなった自分と向き合えたわけだから。中途半端で、現実に向き合って立ち向かう勇気なんかなかったひとが、はじめて自分と戦えた瞬間だから。逃げるんじゃなくて、前を向いた瞬間だったと思うから。

ひとと対峙するって勇気がいる。それは自分なら当然そうだし、他人でもそう。他人と向き合うのって自分と向き合うより簡単だ、っていう場合の「向き合う」ってとても刹那的なんだよね。人と本気で対峙して向き合おうと思ったら、それこそ、その人の未来にまで責任を負う覚悟が必要。
みっちゃんはそれを、室町くんにしてくれた。
あの、外出許可出すから満喫行ってこいのシーンも、脚本を読ませるシーンも、観ながらみっちゃんはなんて強いひとなのだろうと思って、羨ましくて苦しかった。
同時に、僕はああなれるかと自問した。僕はみっちゃんみたいに、人の弱さにも脆さにも向き合って対峙して、それを鼓舞することができるかな。お前なんか弱くてダメなやつだって、諦めろって否定するのは簡単だけど、そういうことじゃなくて。
僕はよく、僕の言葉の花束から抜いたその人のための花を押し付けたいって言うのだけれど。僕がその人を呪い続けた言霊が、いつかその人を守る瞬間がきたらいいなって。ハリーポッターのママがハリーにかけた魔法みたいに。
その花は、受け取ってくれればその後どうされても受け取り手の自由だけれど、その人の未来に残ってほしいという気持ちはある。僕のことなんか忘れて構わないから、その瞬間に僕が尽くした誠実だけは消えませんように。その瞬間に尽くした全力だけはその人の味方でありつづけますように。みっちゃんはそれができる人なんだなって思ったら、すごく、羨ましかった。でもみっちゃんがそれをできたのはさ、役者だった室町くんのファンだからこそなんだよね。ファンのエゴで、室町くんなら大丈夫って信じてる。あれはエゴ以外の何者でもなかったと思う。
でも、誠実なエゴって究極の愛情の形のひとつだな、と思った。恋愛だけが愛じゃないよなあ。パコと大貫の愛…無垢なこどもに浄化されたいオトナの独りよがりが、本当の愛に変わってゆく過程の話でもあったけれど、同時にみっちゃんと室町くんの、「応援することとされること」「応援されることで発揮できる全力」「そこにある誠実」という、誠実という種類の愛の物語でもあったなあと思う。昔から僕は自分が絶望的なまでにエゴイストなのだけれど、エゴイストだからこそつくれる誠実も、エゴイストだからこそ手渡せる愛もあるんだって思わせてくれた。
ウラウラブーストを見たあとだったからなおさらそう思ったのかもしれない。応援という愛の形に伴う責任と、どちらかが応援したりされたりして終わるだけじゃないということ。そして応援って、とてもエゴイスティックな行為であるということ。エゴだからこそ、誠実になれるということ。

これは蛇足だけど、ダブルキャストで結構客席の埋まり方に差があって、戸谷さんのおたくだけで満席にできなかったの悔しいので働いて金を稼ぎます。どっちも素敵だったけど、個人的には川口みっちゃんとくぎゅママの組み合わせが好きだったな〜。
あと「なぁ、患者とそーゆーことになったりすんの」的な絡み方する室町くんが性癖どまんなかでああいうクズ男だいすき!サイコー!なんて素敵なキャスティング!って今になれば思うので、はやくDVDで冷静に見たいです。舞台中は本当にそれどころじゃなかったから笑
できることなら大阪公演行きたいよ(からっぽの財布を見ながら)。

 

ウラウラブーストにかこつけた自分語り〜たっぷりのナルシズム添え

ウラウラブーストにかこつけた自分語り、たっぷりのナルシズム添え。

 

☆ほぼ自分語りでキモいです
☆でもネタバレします
☆ネタバレしてます(大事なことなので)

 


帰りの電車でわーって打ったから細かいところは見逃して。

 


******

 

 


まずど初っ端、出てきた地名に爆笑しました。なんとまあ舞台が我が地元。全部の地名がマイホームタウン。そこがあまりにも面白かった。

自分の話ですが、僕の高校時代と大学時代の思い出は2つ。ロックバンドの追っかけと、それから部活でした。放送部。
高校では発声リーダーやって、部長やって。毎日毎日ばかみたいに練習して、部活のすきま時間に恋愛してた。最後の大会、あとひとりのところで全国大会出られなくて大泣きして、涙でカピカピの顔が部長としての最後の写真。卒部式で泣いてくれて、僕のぶんまで全国大会に出てくれた後輩たちを、憧れさせてくれて目標になってくれた先輩たちを、いまだに大好きだと胸を張って言える。
大学に関しては単位取らずに部活してた(おかげで卒業はギリッギリだった)。半分は遊んでた、けど半分は本気で。渉外部長で、発表会の総合プロデューサーも何回もやらせてもらって。1年生のはじめに10人しかいなかった発表会のお客さんを増やしたくて土日ぜんぶ部活に費やして、他大学まわったりOBOGまわったりして、僕が引退した発表会のお客さんは100人超えてた。作品づくりも、妥協させてくれない仲間とやれた。幸せだった。僕の人生をいま動かしている「成功体験」はほぼ大学の部活に詰まってる。

ほんと、バカみたいだった。バカみたいな青春を、青春と知らずに謳歌していた。幸せだった。あのころの仲間とは僕はずっとつるんで生きていくんだと思う。重い話をするとエンディングノートの連絡先一覧にみんなが載ってるのを見ると、ちょっとだけ希死念慮を抑えられる。
バカみたいでしょ。

大学卒業してから、就職して、うつ病になりました。人生終わったと思った。もう何もかもどっか行っちゃったと思った。当時は自分は死ななけれならないという強い呪いにかかっていたから、死ぬためにどうしたらいいかだけ考えていた。出勤中にホームから落ちようとしたのを引き止めてくれたお兄さんの顔は覚えてない。
ただ、死ななかった。当時の僕はそれを「死ねなかった」と思って恥じた。


もうここまで書けば僕が一体全体どーしてここまでウラブーにやられてしまってるのかお分りいただけるでしょうか。そうです。舞台の上に僕がいたんです。僕は、青鬼に自分を重ねてしまったんです。バッカみたいな、というかバカそのものな青春と、その後の転落と。

でも、だからこそ、大きく大きく救われもしました。
誰も褒めてくれないなら、自分で自分を褒めろ。誰も背中を押してくれないなら、自分で自分の背中を押せ。
いまだってまだ自殺願望の強さに耐えられずに薬を飲む日はあるけれど、それでも今の僕ならなんとか自分の手で背中を押せる。今の僕は、前の僕と違って、自分で自分を褒められます。生きてるだけでえらい、って。そしてなにより、まわりにそれを助けてくれる友人がたくさんいます。あの日、ホームに落ちないでくれてありがとうと言ってくれる人が、ありがたいことに、たくさんいるんです。
「お前は何と戦っているんだ」
そう聞かれたら、僕はただ、自分と、と言うしかない。自分と戦ってます。死にたい自分、自分嫌いな自分、自分に自信が持てない自分。
青鬼とおなじ。
でも、何もかも失った、そう思ったときに手にしていたものって、たぶんずっと手にしていられるものでもあるんだと思う。それが彼にとっての赤鬼であったように、仲間であったように。僕にとっての音楽や友人や、なりたいものであったりしたように。

僕が敬愛するポルノグラフィティはこう言ってました。死ぬまで青春だと。そしてギタリストは過去にこうも言ってました。嘘でも前にと。
自分で自分を否定したくなるときこそ、自分で自分を信じられなくなるときこそ、自分で、嘘でもいいから自分を応援する。嘘でもいいから、大丈夫って、嘘でもいいから、前に進む。

これまたまったく私事なんですけど、10月から転職します。環境の変化に体はまだ追いついてません。不安になったり死にたくなったりお薬カクテルしたりします。
でも。
僕は今日の舞台を見たおかげで、自分の背中を押せる気がしました。というか、押してくれるような気がしました。あの頃の僕が。あの頃の僕が思い描いていたような大人にはなれなかったけれど、それはそれなりにそう悪くはないよって言ったら、当時の僕はなんて言うだろう。あのころ好きだった人には振られちゃったけど、それでも、頑張れと言ってくれるでしょうか。言ってほしいと思ったし、三年後の自分に頑張れと言える今を生きてみたいです。

こーーーーんなに早死にしたいのに、ぜんぜん死なせてくれない。タイミングとはすなわち運命で、運命は、このタイミングで僕にこの舞台と出会わせてくれた。偶然は積み重なっていくと人生になる、って、これは前に自分で言ったことだけれど、今それを感じています。
とりあえず、千秋楽までは死ねないなあ。

 

 

FACE 2 FAITH全曲感想前編〜KUROFUNEの名前だけでも覚えて帰ってください〜

 

ドリフェス!プロジェクトのライバルユニット「KUROFUNE」の1stミニアルバムが最高すぎたので全曲の感想を書きます。
というわけで、CD買った人にも興味あるけど買うか悩んでる人にも、オタクの書く熱量のキモいブログを読むのが好きな方にも笑、KUROFUNEをお勧めしたい!という気持ちで書きます。ひとりでもKUROFUNEのファンを増やしたい!!!!PVだけでいいから見て行ってください。
曲順に僕のひとことの感想に続けて視聴と歌詞、そこからうざい語りってかんじなので、☆のところとリンクの視聴だけでもぜひ。

そもそもKUROFUNEってこんな人たち!ってブログ→ http://bookmarker35.hatenablog.com/entry/2017/05/05/104506
この記事書いた頃は「戸谷さんが株元さん大好き!ってかんじ」って書いてるけど最近はどっちもどっちを大好きな感があります。推しには仲良しでいてほしいファンの欲目かなあ。でも見てて幸せになるふたりです。

ちょっとスクロールするとPVへのリンクあるからそこまでは見てってくれ!!!!!!


まあ要約すると
二次元:ソロでロックンロールをしていた勇人くん🚢が、もっと大きな場所で音楽をやるために事務所に殴り込み。そこはなんとアイドル事務所で相方を見つけて来いと言われる。偶然同じ学校に見目麗しい圭吾くん👑を見つけて声をかける。最初は断られるが、それからふたりの絆を構築する出来事が起き…。ここアニメめっちゃ見てほしいです。7話です。アツいです。泣きます。
三次元:イケメンとイケメン。事務所殴り込みの株元さん🚢と王子様オーディションで事務所入った戸谷さん👑。事務所に組まされたふたりだけど、最初からずっとツーカーだからって言ってた。最近もはやツーカー熟年夫婦アピールすらしなくなってきたのでたぶんガチで仲がいいんだと思う。シンメ厨に優しい。

そんな彼らの記念すべきファーストミニアルバム「FACE 2 FAITH」が発売されました!!!ありがとうございます!!!!!KUROFUNEのための書き下ろし曲が1曲しかないのめっちゃ根に持ってるけど!!!!でも発売してくれてありがとうございます!!!!!!

なお僕は彼らのことをアイドルではなく役者だと思っているし、声優ではなく声の演技というフィールドでも活躍できる俳優だと思っているので、そのへんの解釈違いからくるクレームはご勘弁ください。

そりゃね、そもそも俳優だから。本業ミュージシャンの人みたいなプロそのもののお歌なわけではないですよ。歌はもちろん上手いけど、それだけでは仕事にはできないだろうと思う。だけれど彼らは俳優で、だからこそ表現の部分や、演じて歌うという部分が圧倒的に強い。そこから目を、耳を逸らせなくなるんです。そういう魅力があるのがドリフェス!というプロジェクトで、KUROFUNEです。
僕育ちがポルノグラフィティなので(?)耳はかなり肥えていると自負していますが、それでも聞きごたえがありますよ、このミニアルバム。ひいき目かな。


①表題曲「FACE 2 FAITH」
☆恋愛だけがラブソングになれるのではない、ソウルメイトでただひとりのパートナーに捧げる最強の愛の歌

MV:https://youtu.be/_F4ouJ-jBAQ
歌詞:http://j-lyric.net/artist/a05c007/l0417fc.html

まずはMVを見てそのかっこよさにぶっ殺されてください。カッコよくないですか?やばくないですか?めちゃくちゃかっこよくないですか?
そうなんです。KUROFUNEはキラキラのアイドルではないんです。ロックなんです。ロックアイドルなんです。ギラギラのロックアイドルなのです。これやってるのが俳優さんなんですよ。たまんねえ〜〜!!!!

これが今回のミニアル唯一のKUROFUNEのための書き下ろし曲なんですが(少なさを根に持ってますよ)、さすがロックアイドルであるKUROFUNEのために書かれてる!ギターギュインギュイン!ドラムもめっちゃ畳み掛けてくる!かっこいいー!!!と、もともとロックキッズである僕はメロメロです。
まずイントロからしてあまりにもロック。アイドルが歌うロックの極限みたいな曲で、アイドルであることとロックであることのアンバランスさにゾクゾクします。派手でキラキラしたアイドル全開なお衣装で、アイドルさながらの麗しいお顔立ちで、こんなにゴリゴリにロックンロールしてくれるというそのアンバランスさと、アンバランスさの上にしか成り立たない唯一無二の魅力。最高。
ラストのサビの裏でずっと咆哮しているギターがまるでKUROFUNEの想いの強さを代弁するようで、この強さがある限り彼らは大丈夫だし、ずっと応援させてほしいって思います。

歌詞もまたすごい。もともとKUROFUNEってシンメ厨のために存在してるようなアイドルロックユニットなんですけど(持論です)、設定上、この曲は勇人くん🚢が創ったことになっているんですね。
勇人くん🚢、最初は圭吾くん👑に興味なんかなかったんです。自分が売れるために「黙って俺の隣立ってればいい」とか言ってた。だけれど歌詞を読むと、そんなことはもうないんだなと。

「求めあう…魂が認め合った瞬間」
「今 向かい合ったその瞳に映る自分を
超えていくための相棒(パートナー)」
「今 向かい合った その瞳を信じていればいい」

最初のころにこんな曲はきっと歌わないから。
実際にユニットを組んで、アイドルとしてふたりで過ごしていくなかで圭吾くん👑のことを認め、そしてお互いに尊敬と確かな友情や愛情を抱いたんだなと僕には思えてならないのです。これは二次元も三次元も同じで、イベントやインタビューでもファンとしていろいろ感じます。最初の頃よりやっぱり今のほうがお互いの信頼関係が透けて見えるし、ああ2人がお互いにとって本当に「その瞳を信じて」いられる人になったし、「夢を超えて」いくためのパートナーとして認め合ったんだ、と。……尊い

そんな中でも僕は2番のAメロの歌詞が好きです。ここはメロディも変則的でクールだからぜひ聞いてほしいのだけど。あとドラムがカッコいい。

「目指す場所さえも定めないで
航海したって意味なんてないだろう
暗闇を照らすのはいつだって星の光
そうさ 見つけたんだ本当のdestinationを」

というところ。
destinationは旅行の目的地とか、最終的に行きつくところを示す単語です。
そんなdestinationを、圭吾くん👑も勇人くん🚢もひとりだけでは見つけられなかった。でもKUROFUNEとして、ふたりでなら見つけられた。

僕はロックバンド、ロックユニットが最も光り輝く瞬間は2つあると思っています。
ひとつはお互いの背中を預けあって完全に信頼をする瞬間。もうひとつが、ふたりが同じ目標を見つめる瞬間。
この曲は、KUROFUNEふたりがお互いの瞳の中にお互いの姿を認め、そしてお互いの目標を共有し、ふたりで協力して力強く進んでいくという決意の曲なのです。
ファーストシングルだったARRIVAL -KUROFUNE sail away -ではまだお互いに出会ってやっと信頼できて、航海をはじめたばかりだったけれど、そのふたりに明確な目的地が見えた。それもお互いの瞳の中に。
尊い…。

あとめっちゃ個人的に、明けない夜とか優しく照らす太陽の光とか言われても「あーそういうのもあるんだろうね世界のどこかには」と思ってしまうひねくれ野郎なので、「暗闇を照らす星の光」という言葉にグッときた。みんなが光のある道だけを歩めているわけではない。つらい航海をしていることもある。でも星は光る。仮に夜があけなくても、雲で隠れてしまう日があっても、星はいつか必ず光ってくれる。身を呈すようにして。そのことにすごく救われる歌詞でもありました。太陽ってちょっと明るすぎてしまうから。僕の人生の航海も(僕は魚座なので海になぞらえて自分の人生の話をしがちなのですが)、明けない夜より、はるかに暗闇の中でも掴めるもののほうが信頼できるなあ、と。

…感想が長い。すみません。でもそのくらいアツい曲なんです。みんなアニメ見てドリフェス研究室(キャストさんが仲良くドリフェスの話するネット番組)のそれぞれ7話を見てこの曲聞いて尊い…ってなってください。


②ユレルmidnight
☆DearDreamにはないオトナの遊び声に思わず「ジュンスイニ アイセナイ」なら「ヨコシマニ アイシタク」なる曲

視聴:http://recochoku.jp/song/S1005336439/
歌詞:http://j-lyric.net/artist/a05c007/l0417fd.html
ユレルmidnightはもともとDearDreamの青💙と黄色💛の歌っていた曲です。アニメでもこのふたりはルーキー(ジャニーズでいうジュニア時代)から人気のあったふたりで、三次元ではこのふたりはリアルに高校の同級生で22歳コンビです。22歳が歌うユレルmidnightも、セクシャルなメロディと歌詞に乗る、精一杯大人びようと背伸びした彼らの甘さにクラクラするので素敵なんですが、KUROFUNEは27歳と28歳。…おわかりいただけます?こういうセクシャルでヒヤヒヤするような曲が、ドンピシャ似合う年なんですよ………。

身もふたもない感想を言うと、「エロい」しか言うことがないんですよ。(?)

でもそれじゃあれなんでちゃんと感想書くと、これとSAKURA LETTERという曲はとてもメインユニットであるDearDreamとの「歌うことへのスタンスの違い」が明確になっている曲だと思うんです。
DearDreamのほうは、こういうある意味特殊な2.5次元プロジェクトであることもあって、「そのキャラクターとして歌う」というより「本人とキャラクターのあいだ」「どちらかというと本人のまま」歌っているところがあるんですね。それがどんどんキャラと近づいてくるところにリアルタイムで応援するロマンがあるのですが。

ところがKUROFUNEは、最初からきちっと「キャラクターとして歌っている」んです。
わかりやすい話をすると圭吾くん👑as戸谷さんって、事務所恒例ハンサムフェスティバルではこんな歌い方しないよなあ、とか。あくまで圭吾と勇人として歌うというスタンス。
だから聞いてて本当にわからなくなるんですよ。僕は今誰の歌声を聴いているんだろう?と。勇人さんでもあるし株元さんでもある、戸谷さんでもあるけど圭吾くんでもある…。そんな次元がごちゃ混ぜになって頭ぐるぐるしてくるところに打ち込まれる「目眩のような甘い声」に、打ちのめされてヒリヒリきてしまって、至る感想は「エロい…」なんです。笑
あと「目眩のような甘い声」のフレーズで圭吾さんが歌う「甘い声」がいちばん甘いです。パフェか?ってかんじ。血糖値爆上がりでクラクラする。これが噂のショコラーメンか…(?)

歌詞に言及すると、サビの「恋はかぐわしきパフューム」というフレーズに象徴されるように、この曲においての恋はパフュームでしかないんですよね。つけた瞬間のトップノートからラストノートまで変遷してゆくかぐわしい香りに翻弄されながら、その香りに酔いたいと願うけれど、同時に香水はいつか消えて落ちてしまう。だからラストノートが消え去る前に「終わりにしなくちゃ」「儚い夢だと思って」という歌詞がくる。刹那的な恋愛なのに、体だけではなく心まで重ねてしまったような。
DearDreamはまだ若いこともあって、どちらかというと印象が「マダイカナイデ」なのですが、KUROFUNEは「ココニイテヨ」が強いように聞こえます。
マダイカナイデ、はどちらかというと立ち去ろうとする人に向かって出てゆく道を塞ぐような。下手したらふたりきりの部屋から出ようとする人を壁ドンして「まだ行くなよ」と迫るようなイメージです。まだまだ若いがゆえにできること。
でもKUROFUNEの「ココニイテヨ」は違う。じゃあね、と最後のラストノートを振りまいて去ろうとする人を、もうおとななのだからと一生懸命すなおに見送ろうとするけれど、でもやはりそのラストノートに撃ち抜かれてしまう。果てを知らない感情がパッと腕を伸ばしてしまって、背後から抱きしめながら「ここにいて」と縋ってしまうような色気がある。だめだよ、と手を振りほどこうとして振り向くと、初めて見るような切ない目をしている。揺れた目で見つめるその瞳に「いままでのは儚い夢だと思って」と去ってゆく人。そんな一瞬の恋の終わりの歌。
香水の香りはいつか終わるとわかっているのに、いまこの刹那にすがりたくなる心情こそがユレルmidnight 。キャストさんたちの実年齢と経験値がそのリアルさを持ってくるような表現力で歌われる曲です。


③Up To Speed
☆ロックアイドルの歌うロックソングの魅力が凝集された一曲でうたわれる「きみ」の正体

視聴:http://recochoku.jp/song/S1005336441/
歌詞:http://j-lyric.net/artist/a05c007/l0417fe.html

これはKUROFUNE向きの曲だよね!ロック〜〜!!これ大好きなんですよね!イントロからロックキッズの心鷲掴みですよ。ギターの音がこっちに迫ってくるんですよ。テンションぶち上げですよ。ライブでめっちゃ叫びたい拳ぶん回したい。アイドルのロックだろ、って思ってる人はこれ聞いて考えをぜひ改めてほしい。
ギターソロがさ〜〜ギターソロがさ〜〜!!!ちょーかっけーんだよー!!!!これ聞いてテンション上がらずにいられる?僕は無理ブチ上がる!!!ってかんじです。大サビからラスサビへ展開していくところもたまんねえ〜〜ってかんじ。ギターで腰がビリビリするし、好きなギタリストが弾いたらどうなるのかなって思うくらい。
歌詞にもあるように限界スピードまでぶちあげなら地球をまわしていく。そこにあるのは圧倒的な「能動性」です。受け身で何かを待つのではなく、迫っていく。進んでいく。そういう強さ。ギターも歌声もなにもかも迫りくる強さがある。

この曲の歌詞の基本的な世界観は「君と僕のふたりで進んでいく世界、君と僕のふたりで出会う新しい景色」です。わりと抽象的な歌詞なので(僕は少しポロック絵画をイメージします。原色バキバキのやつ)、ポルノのネオメロドラマティックが好きな人とはまあまず間違いなく相性がいいと思います。そして抽象的であるがゆえに「君」について言及する描写がないんです。誰でも君として聞ける。自分だと思ってもいいし、概念としてと捉えてもいいと思うのですが、僕は
「君って、KUROFUNEお互いじゃね?」と思ったんですよね。運命が魔法をかけた「僕ら」とはすなわちKUROFUNEのことなのではないかと。前にしか進めない、風をきって航海に出る彼ら自身のことなのではないかと。
だから僕にはこの歌がどうしても表題曲FACE 2 FAITHとリンクするのです。勇人さんがあの曲を書けたのは、ひとつUp To Speed!からのインスパイアもあったのかなあ、という気がします。
「君(圭吾)と会ったそのときから始まっていた」
「怖いものなんて(勇人と出会ってから)僕にはひとつもないんだ」
と思って冒頭それぞれのパート聞いてみてほしいんです。ちょっと納得しませんか?実際この曲をレコーディングしたときはまだそこまで予知していなかったかもしれないけれど、現状、三次元も二次元もあまりにシンメ厨に優しいので、こんなふうにさえ聞こえてしまうんです。輝き出す未来へ、KUROFUNEは前にしか進まない。最大限のスピードで、自由になるべく、知らない街へ。
これはKUROFUNEのために書き下ろされた曲ではないけれど(仮にKUROFUNEのために書き下ろされた曲だったら「夢は続いていく」という歌詞にはならないと思う)、はからずもKUROFUNEのはじまりから現状までをなぞるような曲です。KUROFUNEの4人(圭吾さん勇人さんと、戸谷さん株元さん)が「会いたかった僕」に会えるまで、ずっと応援させてほしいなあ。KUROFUNE「2人ならきっと超えてゆける」から。


リバーシブル→バレンタイン(Bitter Sweet)
KUROFUNE新境地!歌手としてではなく俳優としての底力で表現される曲

視聴:http://recochoku.jp/song/S1005336440/
歌詞:http://j-lyric.net/artist/a05c007/l0417ff.html

正直に言うと、聞くたび未だに笑ってしまいます。笑
もともとはDearDreamの緑💚と薄紫💜という超絶カワイイ2人と「メロンパンみたいな甘い恋を」夢みる曲なんですけど、なんでこれKUROFUNEが歌うことになったんだろう。いちおうお兄さん組だしBitter Sweetということになってますが、実際聞いていただいてわかるようにメロメロメロの激甘ホワイトショコラです。オーストラリアでこういう甘すぎて頭痛くなるチョコ食べたぞ!って気持ち。前の曲がロックなので、そのギャップでもう、なんかちょっと面白い。

だいたい「2人出会った日の制服のままで…」「女の子たちだけのSpecial Day ウラオモテにするけど きっとこんな片思いのときめきは同じ 高鳴ってるんでしょ?」って歌詞を27歳と28歳に歌わせようとしたやつ誰だよ!!!!!設定は18歳だけど!!!!!!ありがとうございます金一封。

さて、おさらいしておきますが、勇人さん🚢はロックンロール出身です。
株元さんこの歌うたうの苦労しただろうな…笑
ロックな曲に関しては、おそらく株元さんも得意なのだと思うので勇人さんかっけえ〜〜!!ってなるんですけど、こんなにキュートな曲を歌いこなす設定では決してないはずなので、相当大変だったと思います。
圭吾さん👑も大変だったとは思うけど、彼はいちおうプリンス💝という無敵な称号持ってるので、プリンセスのことを思ったら声が甘くなってしまったよ、で頑張れる…かな。笑

でも、そこを「声が甘いけどこんな声も出せるんですね!?」という驚きで納得できてしまうのが、この曲のすごいところ。
いやこのキャラこんな曲歌わねえだろとか、それにしたって無理ない?とか、いろいろあるけれど、ここまできちんと表現されたら、ひれ伏すしかない。やっぱり演技を仕事してる人たちというのはすごいです。勇人さんが「音楽と歌詞と誠実に向き合うために」出せるだけ甘い声を出しているようにきちんと聞こえるし、圭吾さんはプリンスとしてプリンセス(ファンのことです)を甘やかす歌い方をしてくれているように聞こえる。特に勇人さんはすげーーーよ。本当に、どこまで優しく甘く歌っていいのか相当悩んだと思います。勇人さんとして歌うというリミットがなければ全く別の歌い方になったと思う。そんななかで、きちっと勇人さんの歌声に聞こえるというのが本当に素晴らしい。もはや演技ですよね。歌というよりは。
これ、逆に本業ミュージシャンのひとだと難しいんじゃないかなとか思います。わかんないけどさ。よっぽど表現力おばけでない限り、ここまでの振り幅を、納得できるように歌うというのは結構難しくない?
俳優さんが演じるアイドルの歌う曲、そのロマンはこういうところにあるなと思います。

あとなんかもう…圭吾さん👑as戸谷さんの…声がもうやたらめったら甘くて…こっちが溶けるわ……ってなります。男性にしては糖度の高い声。
KUROFUNEはふたりともそもそも俳優として武器だなあと思えるような素晴らしいお声の持ち主なんですが、株元さんはクールでドライでだからこそ声が濡れたり甘くなる瞬間のギャップがすごい。戸谷さんは男性にしては糖度が高めで耳触りの良い声だけれど、だからこそ必要以上に甘くなったり逆にビターにされるとゾクゾクする。
株元さんはこのリバーシブル→バレンタインでは声の糖度を最大限にしているし、戸谷さんはこの次の曲では彼の声にもともと含まれる「甘さ」をギリギリまで抑えたビターな歌い方をしているので、これも俳優さんが歌うことの魅力だなあと思います。この振り幅は、もはや演技だよなーって。

 

ちょっと長くなりすぎたので、あと3曲、こっちもすげえラインナップなんですが、それらの感想はまた次の記事で。

とりあえず何が言いたいかってKUROFUNEはいいぞ!ってことなんです。ロックアイドルを演じる俳優、推せます。マジで推せる。
アニメ「ドリフェス!」2期ももうすぐアニメイトチャンネルなどで配信が始まるし、1期はレンタルDVDもあるしアマゾンプライムにもアニメイトチャンネルにもあります。KUROFUNEのことは7話を見ればわかります。とりあえず7話だけでも!ぜひ。何卒。それから三次元の彼らのこともぜひ見てください。もうすぐふたりとも舞台があるよ。詳しく教えてーと思ったら本人たちのツイッターを見るか、僕のツイッター @rr_bkmk まだリプくれるかこの記事にコメントください。カッコいいので、ほんとにかっこいいので、ぜひあの、戸谷公人(とたにきみと)と株元英彰(かぶもとひであき)という名前だけでも覚えて帰ってください(?)。安心と安全のアミューズ所属です。
あとこのCD聞いてみたいな、聞いて感想ブログかツイート書きたいなって思ってくれた人いたらソッコー僕のツイッターにリプください。人の感想が読みたいのだ。


ではまた次の記事で!!!!


ドリフェス!公式サイト
http://www.dream-fes.com/